クレール美容室のブログ

現役の美容師にしか分からない美容の本音を書き綴っています。

道具が良くなれば?

昨夜、スーパードクターの番組を見ていたら、あるお医者さんが「近年は道具に進歩が目覚ましい反面、それに頼りすぎて技術が育たない」と言っていました。

私たちの美容業界でも同じ事が言えるのですが、昔ある美容メーカーの研究員さんがディーラーさんに同行し当店に新製品(ヘアカラー剤)の説明に来ました。

その時の私との会話です

研究員「先生、この製品はとても良いですよ」
私「何が良いの?」
研究員「操作が簡単で短時間で染まるし、素人でも失敗しない」
私「なら、素人さんに売ってあげたら?」
研究員「え〜?」
私「だって、そんなに簡単で素人でも塗まると言うのなら美容室でする意味がないでしょう」
研究員「今は美容師のレベルが落ちて、難しい薬は売れず、インターンでも塗れるような商品でないと・・・」
私「そんなオーナーばかりでは無く難しくても安全で綺麗な発色をす物。市販品とは違う物にお客様はお金を投じて下さる。そんな付加価値があるような商品を開発しないと、美容師の腕が落ちていく。インスタント食品が物凄く安全で美味しくなれば、世の女性の料理の腕が落ちるのと同じ事。でも面倒でも、難しくても無添加などの材料を駆使して出来たお料理は、化学調味料てんこ盛りの料理よりも美味しいし、安全だと体が自然に感じる物」

そんな話をしたら、研究員さんは「なるほどとは思いますが、難しい物は現状多くのオーナーさんに受けないんですよ」とチョット憮然としていました(この時点でオーナー受け、つまり商売的であり消費者の事を考えていない)

でも、この人達は美容師の資格を持っていないし、ヘアカラーもほとんどした事がないようでした(研究員さんは元薬剤師さんだったそうです)

そんな人に「美容師のレベルが落ちている」なんて言われるなんて、本当に美容師も舐められたもんだな〜ってその時は感じました。

まあ、その時は自分も若かったので、研究員さん相手にちょっとムキになってしまったのかな(笑)今なら、ただ笑ってるだけかも。

でも昨夜のドクターの話を聞いて、ちょっと昔の事を思い出してしまいました。

本当に安全で優れた技術の向上は一番大切な事だと思います。