クレール美容室のブログ

現役の美容師にしか分からない美容の本音を書き綴っています。

水溶性に拘る理由

私が(ラ・ポーデュベベ(スキンケア商品)を開発する時、原材料を水溶性に拘った理由!

それはズバリ界面活性剤(可溶化剤)を配合したくなかったからです。

お肌に浸透する美容成分を考える前に、皮膚本来の生理機能を知る必要があります。

まず皮膚には汚れやアレルゲンなどの刺激性の物質を身体の中に取り込まないようにする防御機能があります(新陳代謝はその為でもあるのです)

そのため、表皮の機能が正常であればあるほど、化粧品に含まれる様々な美容成分は、皮膚の中に浸透することができず、表皮の上でしか機能していません(だから安全なのですが)

皮膚の中に成分が浸透するか否かは、溶解力や分子の大きさで決まります。

そのため、水溶性か油溶性により変わるのですが、それともう一つは、大きさでも表皮層に浸透性が変わります。

例えば真皮層に浸透する分子量は約500までと言われ、それ以上の分子量の物は真皮層にまで達する事はできません(しないほうが良いのです)

また成分が水溶性の場合は皮脂が成分をはじくため、分子量が小さくても浸透せず表面に残ります(だからアレルギーを起こしにくく安全性が高い)

分子の大きさから浸透しない美容成分
コラーゲン(分子量10万)ヒアルロン酸(分子量:100万)EGF・FGF(分子量:6000)タンパク質(分子量:5000~4万)
水溶性なので肌に浸透しない美容成分
ヒアルロン酸(ナノヒアルロン酸含め)、ビタミンC、ビタミンB
※浸透しないから効果が無いのではなく、表皮で十分ので機能を達成する成分です。
真皮まで浸透しやすい美容成分
アミノ酸(分子量:80~200)ビタミンA(分子量:286)ビタミンE(分子量:430)
表皮には浸透する美容成分
セラミド(分子量:700)水溶性フラーレン(分子量:720)
※この成分は何れも安全性が高く表皮に対しても非常に良い効果が現れます。

つまり、いくら良い美容成分で「真皮まで届いて肌を再生」と言われても実際にはほとんどの成分が表皮上に留まっているのです。

例えば最近流行りのアスタキサンチンの分子量などは(分子式:C40H52O4 分子量:596.82)となり500以上もあるためそのままでは表皮上に残っているのです。

ではこの成分が肌を真皮層まで届かせるには界面活性剤などと混ぜ合わせ加工するしかありません(その場合は本来の能力が無くなる)いずれにしても加工が必要となります。

そのため思う程の効果が実家されないため、結果的には様々な油性成分などを入れて使用感や感応性を誤魔化すしかありません。

その油性原料を配合するためには界面活性剤を使わないといけないのですが、それは化粧品の基材(水)に脂溶性(油)を混ぜ合わせるための可溶化剤(界面活性剤)を使わないと混ぜられないからです(水に油は解けません)

例えば裏の表示の一番初め水とあり、その次に鉱物性(例えばジメチコンなど)が一緒に表記されている製品なら水と鉱物油は本来混ざらないので界面活性剤を使い水に油を溶解しないといけません。

界面活性剤の多くの問題は皮脂(タンパク質)の溶解性にあり皮膚に残っている間に表皮を溶解し続ける事なのです。

そのためリンスオフ(洗い流す事)の化粧品には比較的問題は少ないが(活性剤の成分由来にもよるけど)リーブオン(洗い流さない)など肌に残す成分に界面活性剤が配合されている事は表皮をつかし続ける事になり、肌にとって非常に良くない事なのです。

そのため、どんなに高級化粧品と言われても油性成分が配合していれば肌(細胞レベルで)にとってはマイナスなことの方がおおいのです。

以上の事から油溶性分を排除する事で界面活性剤フリーを目指したことで、ラ・ポーデュベベの製品は全ての原材料を水溶性としているのです。

ただし、この化粧品を作るためには手間とコストがかかるため大手化粧品は利益計算をした時に商品とすることは無いでしょう(あるとすれば物凄く高い販売価格になると思います)

ちょっと長くて難しかったかも知れませんが、早い話が洗い流さない製品は水溶性が最も安全だと言う事です。