クレール美容室のブログ

現役の美容師にしか分からない美容の本音を書き綴っています。

大量のシリコンが

先日、お客様にあるメーカーさんの「頭皮洗浄」についてのご質問を頂きました。

それは「頭皮が青白く透明に見えるのが良いそうですが、今の自分の頭皮はところどころ剥離して見えます」と少し不安を抱えていたからでしょう。

実は頭皮の表面が綺麗に見えすぎる事も問題ではありますし、頭皮の色は生活習慣により日光に良く当たる人や運動直後(来店して直ぐと時間が経ってからでは血流が違う)など見るときにより状況が違う(私達の診断基準とは全然違い、そんな事はあまり重視していない)

特に頭皮が剥離しているように見えるのは、正しく新陳代謝が行われていれば当然の事です。

皮膚のターンオーバーにより毎日のように剥離しているのが当たり前で、良い角層の代謝状態にあるのが普通であり、ましてやマイクロスコープなどの200倍にも拡大したら、そう見えないにが逆に普通なのです。

そのメーカーさん(その美容室)の頭皮洗浄をすると頭皮の剥離が無くなったように見えるのはヘアケア商品の特性にあり、シャンプー剤は「ノンシリコンが良い」を謳っていて、いかにもシリコンはいけないと主張しているのに、トリートメント剤にはタップリとシリコン(正確にはシリコーン油です)がが配合されれていて、それを頭皮洗浄の後にチェンジリンスとして頭皮から毛髪までしっかりと塗布しています。

そのため頭皮はしっかりとコーティングされ、ツルツルに見えますが、それが発毛の妨げになってしまう事が十分に考えられます。

そのトリートメント剤の全成分がこちらです
ジメチコン、ジカプリル酸PG、水、グリセリンアミノプロピルジメチコン、シクロメチコン、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、セイヨウキズタエキス、アルテアエキス、BG、ラクトフェリン(牛乳)、シソエキス、シャクヤクエキス、エタノールコンフリーエキス、カミツレエキス、カワラヨモギエキス、トウキンセンカエキス、セイヨウノコギリソウエキス、オレンジ油、ボタンエキス、セージエキス、ユーカリ油、アルニカエキス、スギナエキス

ご覧のように、ジメチコンが一番多く配合されていて、そのほかにも数種類のシリコーンやコーティング剤がタップリと配合されています(と言うか、ほとんどシリコーンです)赤い文字がシリコンやその他のコーティング剤です。それ自体は刺激がほとんどないのですが頭皮の被膜形成が育毛には不向きです。特にジメチコンの高濃度配合は今どきの時代には・・・
オレンジ油は光毒性があるようなので紫外線を浴びるとアレルギー症状を起こしやすいと言う心配があります(柑橘系で光毒性が無いのはマンダリンですが原料が高価なため大手のメーカーは配合を避ける事が多いようです)

これを塗布したら毛髪はツルツル、頭皮はテカテカになり頭皮のコーティングにより剥離が見えなくなるのは当たり前です。

さらにシャンプー剤は洗浄成分の骨格をベタイン系にしているので、保湿能力はあり、かなりの損傷毛でもシットリさせられますが、補修成分が配合されていないので、毛髪を修復する効果に期待はできませんね。

そのシャンプーの配合表はこちら
全成分:水、オクテニルコハク酸デキストリンTEA、コカミドプロピルベタイン、デキストリン、ラウラミドプロピルベタイン、カミツレエキス、クララエキス、カワラヨモギエキス、セイヨウキズタエキス、
オレンジ油、ユーカリ油、ポリクオタニウム-10、ラウリルベタイン、セージエキス、アルテアエキス、スギナエキス、フェノキシエタノール、HEDTA-3Na、クエン酸、BG、シャクヤクエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ラウレス-5酢酸Na、エタノールコンフリーエキス、トウキンセンカエキス、マグワ根皮エキス、アルニカエキス、メチルパラ

赤や黄色の文字は出来れば避けたい原料です。このシャンプーはベタイン系を2種類配合しているのとラウレス-5酢酸Na(酸性石鹸系界面活性剤)を組み合わせているので頭皮や髪への残留性が強く、かなりしっかりと濯ぐことが求められるでしょうね。

そしてトニックはこれです
全成分:水、
エタノール、フェノキシエタノール、セージエキス、シソエキス、カワラヨモギエキス、ボタンエキス、ユーカリ油、ラクトフェリン(牛乳)、BG、カミツレエキス、PEG-80水添ヒマシ油、アルニカエキス、コンフリーエキス、乳酸、セイヨウキズタエキス、セイヨウノコギリソウエキス、スギナエキス、アルテアエキス、シャクヤクエキス、トウキンセンカエキス、メチルパラベンNa
もう論外です。
エタノールを配合成分の一番高濃度で配合しているので乾燥しやすく、普通に考えたら育毛用の商品としては考えられませんね。メチルパラベンもアレルギー体質の人には最も不向きな成分です。
さらにはエタノール(石油系アルコールと水を混ぜないといけないのでPEG-80水添ヒマシ油のように界面活性剤が使われますがそれを頭皮に残したままになるので角質は常に溶解され、見た目上は綺麗に見える(但しバリア層は薄くなりアレルギーや炎症を起こしやすくなる)この原料はアウトバス製品には不向きですね。

この製品は「ハーブの生薬の力だ」とアピールしているそうですが、その効果は高濃度のシリコーンエタノールなどの石油系原料で全てが台無しになっているようです。

この頭皮洗浄システムを続けていると、髪や頭皮の状態は・・・?

これ以上はメーカーさんの死活問題にもなるのです、あえてコメントは控えますが、昨日このシステムの原案を考案した関先生ともお話をしましたが「原案から思うと今はめちゃくちになったね」との事。

たしかに、このシステムを考案した時から関先生と長く付き合わせて頂いて来ただけに私にはその意味が十分にわかります(関先生の育毛理念からは遠くかけ離れてしまいました)

最後に「この製品を信じている美容師さんも消費者の方々も気の毒だね。やはり美容師はもっと勉強しないといけないね」と関先生は話しておられました(同感です)

でも、普通に考えたら美容師ならわかるけどね。

このシステムが世に出てから約20年が経ちましたが、今ではシステムの内容そのものが随分変わってしまいましたが、それよりも、このシステムを導入していたサロン会のメンバーの減少が、このシステムの結果の現れかと思います。

今ではヘアケア商品の乱用を促すかのごとく、乱売をしているようですが消費者にとって無理なく、確実の健康維持が出来るような事を推奨する事が私たち美容師の本来の仕事ではないのかなと思います。

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『スカルプウォーターセラピー』同じ道具を使うけど施術方法商材は全く別物です。