クレール美容室のブログ

現役の美容師にしか分からない美容の本音を書き綴っています。

オーガニック信仰?

近年では健康志向方の方が多くオーガニック系の情報発信量は凄く多くなっていますね。

昨日も初来店されたお客様より「ヘナやオーガニックヘアカラーをしていたんですが、こちらにはありますか?」との質問がありました。

生憎、当店ではどちらもありませんが、システムを説明させて頂き、施術させて頂いた後にはその仕上がりに驚いておられました。

その前に、そもそもヘナをされていた背景は知り合いの方から「ヘナで有名な先生が講習をしてくれるから家に来ない」と言われ、そこで初めてヘナの存在を知ったそうです。

その講習内容では当然のようにヘナの安全性とケミカル系のヘアカラー剤の経皮吸収による肝臓の破壊などの危険性が話されたそうです。

勿論、ケミカル系の商品が100%安全であるとは言えないまでも、昔に比べると今ではSDS(MSDS)などの安全データシートや刺激性検査など様々な安全検査を行いながら開発しているため、使い方を間違わなければ、余程の事故になる事は無いと思います。

むしろプロでもない素人さんの集まりで、パッチテストも行わずヘナの施術を受ける事のほうが危険な事でもあるのです。

「ヘナは植物だから安全」だと安易に考える方も多いようですが、蕎麦も漆などの植物でもアナフィラキシーショックになる人もいるのと同じように、ヘナでカブレた人の数もかなりいるようです。

問題は、その絶対数の違いで、ケミカル系のヘアカラーに対してヘナの需要がまだまだ少なく、実際に行っている人の数は少ないため、当然事故件数は少なくなりますからね。

ケミカル系のヘアカラーを悪者の対象にすることの方が簡単なのだと思います。

問題はケミカル系が良いとか、ヘナが良いとかではなく、いずれにしても施術方法に問題があるのです。

昨日、お客様から聞いた話では、ヘナを購入してその素人の方に塗布(施術)してもらい、そしてヘナの代金だけを頂くと言うシステムだそうで、その人の利益はヘナの仕入れ販売だけなので、お友達を集めては「また紹介してね」というマルチ的な仕事だそうです。

しかし、実際の薬事法では美容資格を持たない人でも美容開設所以外での料金の徴収は違反になり、ましてや素人さんがヘナを販売施術を行う事は法律違反対象となります(厳密には国家資格を持たない人が他人の体に触れる施術を行う事が法令違反なのだそうです)

さらにオーガニックヘアカラーは素人さんに最も分かり辛いもので、そもそもケミカル系のヘアカラーの時点でオーガニック承認はありません(日本では化粧品の承認は無く有機野菜しかオーガニックの承認は認められていない)

そもそも、オーガニックとは「自然をそのまま」と言う事が由来の為、栄養素も高いが毒性もあると言う事です(ハチミツが小児や老人に危険な事もその内の一つです)

つまり化学薬品(原料)で作られた時点で既にオーガニックではないのですが、オーガニックで育てたハーブなどのエキスを、ほんの微量だけでも配合した商品をオーガニックヘアカラーなどと言っている物なので、そのあたりは勘違いしないように十分に注意が必要ですね。

いずれにしても、昨日のお客様がヘナやオーガニックヘアカラーなるもので満足していたのなら、当店にお越しになる必要は無かったと思うのですが、それでも店を替えたかったのには、それなりの理由があったからだと思います。

私の長くて子難しいお話にも「メモ持ってきたら良かった」と興味津々と言っておられましたが、オーガニックのメリットデメリットもしっかりと話をさせて頂いた事で、また美容に対する見方や考え方が変わったようです。

帰り際には、ご自分の髪を何度も触りながら「何でこんなにサラサラなの?それに臭わない?」と不思議がっておられましたが、それが私の仕事です。

次回は、もう少し詳しいお話をさせて頂こうかなと思います(笑)

またのご来店をお待ち致しております。