クレール美容室のブログ

現役の美容師にしか分からない美容の本音を書き綴っています。

人材不足?それとも忍耐不足?

今朝は『がっちりマンデー』と言う番組で外食産業の事情が語られていた。

それは最新のフライヤーの話をしていた時の事でしたが解説していた人からは「今は職人の人材不足により誰でも簡単に揚げられる良いフライヤーが人気である」「そのお陰で人件費が削減され利益が上がると喜ばれている」と・・・

簡単に誰でも揚げられる事は一般家庭においては良いのかも知れないけど、外食店においては機械が優秀になればなるほど人間は怠慢になり技術の低下は避けられないと思います。

昔、近所で超人気の『とんかつ』店があり、その店の店主のおじさんは何時も汗をかきながら黙々と「とんかつ」を揚げていました。
それは本当にジューシーで美味しかったですし、ほんの少しでも手が空くとキャベツの千切りを黙々と華麗な包丁さばきできざんでいました。

幼いながらも「これぞ職人技」だと感じていたと思います。

私たちの美容業界でも今と昔では技術者の育成方法も随分と様変わりをしてきました。

私の母の時代などは実家を離れサロンに住み込むなどのいわゆる『見習い』と言う時代があり、食事の賄や子守りなどさせられてたようです。
それから少し年月が経ち、私たちの時代には先輩方の厳しい指導により、毎日のようにフロアでも叱られ、バックルームでは怒号が聞かれた物でした。

今ならパワハラなんて騒いでいるでしょうし、またそんな先輩が罰せられるなんて事になるのでしょうね。

でも、それは「お客様に対して失礼がないように」との教えであり、そんな辛い事も乗り越えて来たからこそ、今は消費者のために何が出来るのかを真剣に考えられるようになったのだと感謝しています。

私の周りの職人さんは凄腕の職人さんたちがいますが、その人たちも厳しい修行を経て来て、尚且つ今でも日々精進しています。

そんなシェフ達からも「今の調理人は忍耐が無いので優れた技が継承されない」と嘆いています。

ここだけの話ですが、私のお世話になっているシェフは個人経営の小さなお店ですが、ミシュランの星を持っているお店などに助っ人を頼まれ、そこでもイノシシやアンコウの吊るし切りなどの技を伝授してくるそうです(普通で考えたら逆ですが)

それぐらい、業界全体の技術の質が低下しているそうです。

そう思うと、どの業界でも人材不足は忍耐不足なのかもしれないと思えてなりませんね。